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熊谷 友多
放射線化学(インターネット), (115), p.43 - 49, 2023/04
ウラン酸化物の放射線による酸化と水への溶解反応に関する研究は、使用済核燃料の地層処分を背景として進められてきた。またその知見は、原子炉過酷事故で形成される燃料デブリの化学的な安定性を検討する基礎となっている。本稿ではウラン酸化物の放射線よる化学反応について既往研究についても取り上げ、受賞対象となった研究の背景や意義について紹介する。
白崎 謙次*; 田端 千紘*; 砂賀 彩光*; 酒井 宏典; Li, D.*; 小中 真理子*; 山村 朝雄*
Journal of Nuclear Materials, 563, p.153608_1 - 153608_11, 2022/05
被引用回数:2 パーセンタイル:53.91(Materials Science, Multidisciplinary)添加剤を変えながらウラン酸化物(U, )O (=Th, Np)固溶体を超臨界水熱合成で調製した。それらの試料の均質性をVegard則に基づいた結晶構造解析や、(U, Np, Na)O固溶体については、Na核核磁気共鳴(NMR)によって調べた。その結果、(i) (U, Th)O固溶体の場合は、炭酸アンモニウムを添加剤として、IV価ウランから出発し、(ii) (U, Np)Oの場合は、エタノールを添加剤として、VI価ウランから出発すると、均質な試料が得られることがわかった。
田端 千紘*; 白崎 謙次*; 砂賀 彩光*; 酒井 宏典; Li, D.*; 小中 真理子*; 山村 朝雄*
CrystEngComm (Internet), 23(48), p.8660 - 8672, 2021/12
被引用回数:5 パーセンタイル:64.74(Chemistry, Multidisciplinary)超臨界水下においてウラン酸化物UOの水熱合成について調べた。得られたUO粒子について、その化学組成,結晶形,サイズ,均一性などを調べた結果、超臨界水熱合成法は、化学的に制御された均一なUOを合成するのに有効である可能性がある。
Pham, V. M.*; 有馬 立身*; 稲垣 八穂広*; 出光 一哉*; 秋山 大輔*; 永井 崇之; 岡本 芳浩
Journal of Nuclear Materials, 556, p.153189_1 - 153189_9, 2021/12
被引用回数:1 パーセンタイル:16.35(Materials Science, Multidisciplinary)純Ar及びAr-10%H雰囲気1973Kで8時間焼結させた(1-x)UO-xLnO (Ln=Gd or Er; x= 0 to 0.4)試料の結晶構造変化を評価した。UOに対してLnOを添加した場合の構造への影響を、X線回折(XRD)及びX線吸収微細構造(XAFS)法によって調べた。UOにLnOを添加していくと、40mol%LnO組成まで、UO-LnO固溶体の格子定数が減少していった。これらの試料の格子定数の値は、化学量論比(U,Ln)Oの固溶体とほぼ同じであったことから、試料中のO/M比は2.00に近い状態にあるとみられる。U原子L吸収端のXANES解析は、試料中のUの酸化数に関して、4価に加えて、より高い5価あるいは6価の生成を示した。また、EXAFS解析から、U-OとGd-Oの原子間距離はxの増加とともに減少したが、Er-Oの原子間距離は単調に減少しないことがわかった。
熊谷 友多; 高野 公秀; 渡邉 雅之
Journal of Nuclear Materials, 497, p.54 - 59, 2017/12
被引用回数:13 パーセンタイル:78.05(Materials Science, Multidisciplinary)ウラン・ジルコニウム酸化物固溶体[(U,Zr)O]のHOとの反応についての理解は、(U,Zr)O組成を持つ溶融燃料の放射線環境下での劣化を評価するためには不可欠である。そこで、(U,Zr)O粉末試料を用いて、HOによるUの溶出を調べた。HO反応量に対するU溶出の収率を測定した結果、(U,Zr)OのU溶出収率はUOと比べて著しく低いことが明らかになった。そのメカニズムを調べるため、HOの反応によるOの発生を測定したところ、O発生量とHO消費量は1:2の比であり、HOの不均化反応の化学量論と一致した。この結果から、(U,Zr)OのHOによる酸化的溶解が抑制された理由は、不均化反応への触媒活性と考えられる。さらに、同時に行った(U,Zr)Oのラマン分光分析の結果も触媒的不均化反応を支持しており、これらの結果から、HOによる酸化的溶解反応に対して、(U,Zr)OはUOよりもはるかに安定であることが明らかになった。
酒井 宏典; 加藤 治一; 徳永 陽; 神戸 振作; Walstedt, R. E.; 中村 彰夫; 立岩 尚之*; 小林 達生*
Journal of Physics; Condensed Matter, 15(28), p.S2035 - S2037, 2003/07
被引用回数:3 パーセンタイル:21.33(Physics, Condensed Matter)立方晶蛍石型結晶構造をもつウラン酸化物UOは、イオン性結晶であり、絶縁体である。この酸化物は、Uイオン()に対応する局在磁気モーメントを有し、常圧下において、=30.8Kにおいて反強磁性秩序を示す。また、この転移は微小な格子変形を伴う一次転移であることが知られている。このことから、この転移は電気的四重極相互作用と磁気的交換相互作用との競合により引き起こされていると考えられる。この競合関係を明らかにするため、われわれは約1GPaまでの高圧下における直流帯磁率の測定をピストンシリンダー型の高圧セルを用いて行った。高圧下においてUOは弱強磁性的な振る舞いを以下において示した。は、約1GPaまで変化しない。このときの磁気モーメントはウランあたり約0.05と微小ながら、加圧に応じて大きくなることがわかった。この小さな磁気モーメントは傾角反強磁性秩序からもたらされている可能性がある。
富岡 修*; 目黒 義弘; 磯 修一; 吉田 善行; 榎田 洋一*; 山本 一良*
Proceedings of International Solvent Extraction Conference 2002 (CD-ROM), p.1143 - 1147, 2002/00
ウラン酸化物で汚染した固体廃棄物からウランを除去するための新しい方法を開発した(超臨界COリーチング(SFL)法と称する)。本法は硝酸-TBP錯体を含む超臨界CO中へのウラン酸化物の溶解反応を原理とする。UO及びUOの粉末がともに60,20MPaの条件で超臨界CO中に完全に溶解することを明らかにした。固体廃棄物中のウランの除染法としてのSFL法の適用性を、模擬試料(海砂約50gとUOまたはUO約120mgの混合物)を用いて実証した。UO及びUOの除染係数としてそれぞれ100及び10000を得た。
富岡 修*; 目黒 義弘; 磯 修一; 吉田 善行; 榎田 洋一*; 山本 一良*
Journal of Nuclear Science and Technology, 38(6), p.461 - 462, 2001/06
被引用回数:27 パーセンタイル:85.72(Nuclear Science & Technology)超臨界二酸化炭素(SF-CO)を媒体として用いて、ウラン酸化物を含む固体廃棄物からウランを選択的に溶解して回収する除染方法を開発した。模擬汚染試料として、約100~200mgのUOあるいはUOを均一に混合した砂(平均直径~1mm)約50gを用いた。試料をステンレス鋼製の容器(内容積約50ml)に採取し、これに、200気圧に加圧したSF-COと硝酸-リン酸トリブチル錯体溶液(HNO-TBP錯体,モル比: 4.8:3)との混合流体を50~60で圧入する(流速: 3ml/min CO,0.3ml/min HNO-TBP)。一定時間放置後、SF-COを流しながら洗浄し、ウランを含むCO流体を回収した。溶解処理した後に試料中に残存するウランは、1mg以下(UO)あるいは0.01mg(UO)であり、砂中のウランを100~10000分の1以下に除染できた。
技術協力課*
JNC TN1400 2000-006, 68 Pages, 2000/07
機構は、博士の学位をもった若手研究者の人材育成を図るため、平成9年度から博士研究員制度を導入した。同制度は、機構の先導的、基礎・基盤的な研究業務に関連して、独創性に富んだ若手研究者から研究テーマを公募する。若手研究者には、13年間の期間に機構の承認した自らの研究テーマを自主的に遂行し、研究者としての業績を得させるとともに、機構の研究業務を効率的に推進することを目的としている。本報告書は、平成9年度及び平成10年度に実施した博士研究員による研究テーマの実施結果についてその概要をまとめたものである。
技術協力課*
JNC TN1400 2000-004, 93 Pages, 2000/07
機構は、博士の学位をもった若手研究者の人材育成を図るため、平成9年度から博士研究員制度を導入した。同制度は、平成11年度で3年目を迎え、当初の目的を達成し、研究を終了した博士研究員も出始めている。同制度は、機構の先導的、基礎・基盤的な研究業務に関連して、独創性に富んだ若手研究者が13年間の期間に機構の承認した自らの研究テーマを自主的に遂行し、研究者としての業績を得るとともに、機構の研究業務を効率的に推進することを自的としている。本報告書は、平成11年度に実施した博士研究員による研究テーマの実施結果についてその概要をまとめたものである。なお、17件の研究テーマのうち、5件の研究テーマが平成11年度で終了した。
Huang, J.*; 山脇 道夫*; 山口 憲司*; 安本 勝*; 桜井 博司*; 鈴木 康文
Journal of Nuclear Materials, 248, p.257 - 261, 1997/09
クヌーセンセルを用いた高温質量分析法によりストロンチウムあるいはバリウムとウランとの複合酸化物の蒸発挙動を調べた。セルの材質として白金の代わりに黒鉛を用いた場合、バリウムの複合酸化物でバリウム分圧が大幅に増加した。また、重水あるいは重水素を導入した場合、一酸化物分圧の低下が見られ、雰囲気条件が複合酸化物の蒸発に大きな影響を与えることが確認された。
Huang, J.*; 山脇 道夫*; 山口 憲司*; 安本 勝*; 桜井 聰*; 鈴木 康文
Journal of Nuclear Materials, 248, p.257 - 261, 1997/00
被引用回数:6 パーセンタイル:47.96(Materials Science, Multidisciplinary)黒鉛セルを用いたクヌセン・セル質量分析法により複合酸化物SrUO及びBaUOの蒸発挙動を観察した。この結果、BaUOでは白金セルを用いた場合と比べてBa分圧が4~5桁増加することが認められたほか、SrUOでは大きな影響を受けないことがわかった。D及びDOを雰囲気に導入した試験についても述べるほか、熱力学関数の評価結果を紹介する。
山脇 道夫*; Huang, J.*; 山口 憲司*; 安本 勝*; 桜井 博司*; 鈴木 康文
Journal of Nuclear Materials, 231, p.199 - 203, 1996/00
被引用回数:11 パーセンタイル:68.11(Materials Science, Multidisciplinary)クヌセンセル質量分析法により1770~1920Kの温度範囲でBaUOの蒸発挙動を調べた。主な蒸発種は、BaO(g)、Ba(g)及びUO(g)であり、熱力学第二法則及び第三法則からBaUOの標準生成エンタルピを求めた。また、ペロブスカイト構造をもつ複合酸化物についてイオン半径と標準生成エンタルピとの関係について考察した。
山岸 滋; 高橋 良寿
JAERI-M 93-122, 18 Pages, 1993/06
ペレット製造のためのゾルゲル粒子加圧成形法に用いる原料粒子のサイズ制御条件と柔らかい原料粒子を得るための乾燥条件を検討した。ゾルを水平方向に吹き出す振動ノズルを基にしたゲル化装置を用いて、170~700mのゾル滴(50~200mの焼結粒子に相当)の分割に適したノズル径、ゾル供給速度、振動周波数の条件を調べた。乾燥条件については、このような極微小ゲル粒子中の水分をアルコールで置換した後、粒子が固着することなくアルコール除去できる条件を検討した。確立した条件を適用して調製したU含有率[U/(Th+U)モル比]0~30%の粒子の例を示した。
山下 利之
JAERI 1310, 84 Pages, 1988/03
酸化物燃料の照射挙動解明のためには、熱力学的なアプローチは重要である。そこで照射に伴って発生する多種類の核分裂生成物と燃料化合物との反応を、それぞれの三元系酸化物の和としてとらえる観点に立って研究を行った。
山下 利之; 藤野 威男; 田川 博章
Journal of Nuclear Materials, 132, p.192 - 201, 1985/00
被引用回数:21 パーセンタイル:89.56(Materials Science, Multidisciplinary)UO-PrO-O 三元系における相関系と欠陥構造を1200から1500Cの温度範囲で調べた。空気中、ヘリウム中及び真空中で加熱した試料の相と組成をX線回折法及び化学分析法で分析した。螢石型構造を有する固溶体と菱面体構造相及びA型希土類二三酸化物相の存在領域を定めた。PryUyOと表される固溶体の単相領域での格子定数は、次の様に、とyの一次式で表されることがわかった。a=5.4704-0.127-0.007y,≧0 および a=5.4704-0.397-0.007y,0。ウランの平均原子価及び酸素欠陥の種類は、相の安定性及び格子定数変化に対し、重要な役割を果たすことが見出された。
山下 利之; 藤野 威男
Journal of Nuclear Materials, 136, p.117 - 123, 1985/00
被引用回数:14 パーセンタイル:83.09(Materials Science, Multidisciplinary)ヘリウム気流中で作製したCaUO固溶体の格子定数及びO/M比を調べた。立方晶系蛍石型構造を持つ固溶体相の単相存在領域は、0.03≦y≦0.33の範囲であった。固溶体の格子定数は、x≧0の範囲で、=5.4704-0.102x-0.310yと表わせることがわかった。xの係数(-0.102)は、UO,またMgyUO固溶体のそれと同程度であり、このことより、本固溶体相中の欠陥は、過剰酸素による格子間侵入型であることが推定される。剛体球を仮定した簡単なモデルを使うと、固溶体相中のウランの原子価は、+4と+5の混合であることがわかった。この結果を使い、部分モルエンタルピーを計算し、部分モルエンタルピーを求めた。部分モルエンタルピーは、xとyの関数となるが、特にxに対して大きく変化し、x=0.01付近に極大(最大)値をとることが、わかった。
館野 淳
日本原子力学会誌, 27(1), p.15 - 20, 1985/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.02(Nuclear Science & Technology)ウラン酸化物には,広く軽水炉燃料として用いられているUOのほかに,UO,UOあるいは不定比相UO相においては,組成xに対応する過剰酸素の存在によって,いわゆる欠陥構造が生じ,これによって熱力学的性質が変化し,核燃料の照射挙動に大きな影響を与えることはよく知られているところである。すなわちUOにおいては,蛍石型構造をもつUO結晶格子の格子間位置に入った過剰酸素原子は無秩序に分布し「格子欠陥」として存在する。底比組成からのズレxが小さい場合は,この欠陥は文字通り結晶の「ささいなキズ」と考えればよいが,xが大きい場合,欠陥は量的にも結晶格子の重要な構成要素となる。この場合UOの物理的・化学的性質には,固体に固有の秩序性と液体や気体に固有の秩序性と液体や気体に固有の無秩序性の両者が現れる。上に「無秩序」という言葉を用いたが,欠陥同士は,相互作用に基づいて統計的に分布するのであり(局所的に欠陥が集合して様々なクラスタを作るという考え方もある),このような構造を広く欠陥構造と呼んでいる。
館野 淳
Journal of Chemical Physics, 81(12), p.6130 - 6135, 1984/00
被引用回数:6 パーセンタイル:29.02(Chemistry, Physical)定在波法を用いて、9.1GHzにおけるUO、Uo、Uの誘電率を測定した。誘電率の虚数部より、電気伝導度を計算することができるが、その易動度がきわめて小さく(1.210cm/V.S)、伝導材構はスモール・ポーラロンによるものと考えられる。伝導度のx依存性および温度依存性の解析より、二種類のチャージ、キャリアーが存在することが結論づけられた。即ち、低濃度(x=0.07、0.10)における自由なキャリアーと、高濃度(x=0.15、0.20)における格子間酸素イオンと結びついているキャリアーがある。前者に対しては、Eu=0.15eV、J=0.01eVが、後者に対してはEu=0.25eV、J=0.08eVが得られた。
藤野 威男; 山下 利之
Fresenius'Z.Anal.Chem., 314, P. 156, 1983/00
三元系ウラン酸化物MyUOのxおよびy値を定量するために滴定法を改良した。試料粉末は希硫酸と過剰のCe(IV)を含んだ溶液に溶かし、残余のCe(IV)をFe(II)で滴定する。U(IV)が求められる、酸化物中のウランの全量は上記方法で溶解後、Ce(IV)を含めて亜鉛アマルガムで還元する。溶液はピペットで滴定用ビーカーに移したのち、アマルガムは希硫酸で3回洗い、洗液はビーカーに加える。Ce(IV)過剰量をピペットで加える。残余のCe(IV)をFe(II)で滴定する。15~30mgの試料に対しx値、y値がそれぞれ0.006、0.004の精度で求められた。